大判例

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仙台高等裁判所 昭和27年(う)667号 判決

職権を以て調査するに、原判決は酒税法第六〇条第四項を適用して大蔵事務官の差押に係る証第一号乃至第三〇号、同第三七号乃至第四四号、同第四六号、同第四八号、同第四九号、同第五一号、同第五三号及び同第五四号を沒収している。しかしながら、沒収は附加刑であつて、主刑が科せられる罪についてのみ科せられるものであることは当然で、酒税法第六〇条第四項の解釈についても之と異る解釈を採るべき理由はないから、同条項にいう「犯罪」も同条第一項又は第二項の罪として主刑を科せる犯罪、即ち判決において「罪となるべき事実」中に判示せられた同条第一項又は第二項の罪たることを要するのであつて、単にそれが、記録又は証拠を通じて、事実上之を認め得るに止まる犯罪は之に入らないものと解すべく、又、右第六〇条第四項にいうところの云々の「犯罪ニ係ル」とは、犯罪行為たる酒類等の製造行為に関係あるという意味であつて、製造行為には関係なく、単に製造した酒類等を更に別の容器に移して置くために用意した容器で未だ使用しないもの、容器を洗うために使つた器具(例えば壜洗ブラシ)、容器に栓をするために使つた器具(例えば打栓器)等は酒類等の製造に関係あるものとはいい得ないから、之を前記法条によつて沒収することはできないものと解すべきである。ところが、原判決が認定している事実は、第一に焼酎その他を原料として合成酒を製造したこと、第二に米、米麹等を原料として醪を製造したことの二つであつて、焼酎製造又は同未遂等の事実は認定されていない。而して、記録を精査し、原審が取調べた証拠を検討するに、原審が沒収を言渡した物件の内証第一号蒸餾釜一基(原判決が証第何号と表示しているのは記録中の収税官吏の差押てん末書に記載の差押番号を指していることは明かである。)及び同第二号蒸餾蓋一枚は、焼酎製造の為の器具、証第五号八斗四升桶一本及び同第六号の蒸餾粕七斗六升四合は焼酎密造の副産物及びその容器、証第二六号打栓器一基は容器に栓をする為に使うだけの器具、同第二七、二八号の各二斗樽一本同二九号の四斗樽一本は、いずれも、原判示合成酒を本件発覚当時の容器から更に移しておくために用意したが未だ使用されなかつたもの、証第五三号の壜洗ブラシ一本は単に容器の洗滌に用いたもので、何れも原判示酒類製造行為に関係ありとは認め難いものであり、なお、証第四六号蛇管一本、及び同第四九号ゴムホース一本は記録並びに証拠を精査しても之が原判示酒類製造行為と如何なる関係にあるか判明しないところのものである。故に、原判決が叙上特記の各物件の沒収を言渡したのは法令の適用を誤つたか事実の誤認をしたかの何れかであつて、その失当であることは論なく、かつこの違法が判決に影響を及ぼすことは明かであるから、原判決はこの点において破棄を免れない。

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